片仮名交りゾ体の抄物文体で、上古から戦国までの中国の歴史を簡略に説いた書。撰者は五山禅僧の桂林徳昌(生没年未詳、延徳元年(1489)建仁寺住持)とされるが、問題もある。本書の第1丁裏にも「建仁寺青松軒桂林四哲ノ中ノ人也」とある。巻首に「歴代歌」「十二諸侯」「戦国七雄」と題して七言の歌を挙げる。中国史の概略書に関連して、歴代を記憶するための歌を記載したものであろう。巻尾に「野馬台詩抄」が半丁書写されている。その中に「今年大永七年マデハ百二代也」と見える。
改装薄茶色表紙(縦23.5cm×横16.5cm)。外題、題簽剥落あとに後筆で「歴代歌」と墨書する。内題なし。字面高さ20.1cm。半面18行。首1丁を含めて全32丁。表紙見返と巻首尾に朱印記「鮎貝/蔵書」あり。巻尾に暗緑色印記「仙台任天堂書店」あり。
『燈前夜話』の写本には、東京大学総合学術情報センター(大永2年写)・同(近代写)・筑波大学学術情報センター(天文23年写)・京都大学文学部(元和元年写)・京都大学文学部(寿岳章子氏旧蔵、室町末期写)・京都府立総合資料館(文禄3年写)・亀井孝氏旧蔵(江戸初期写)・大東急記念文庫『雑抄』所引などが知られる。寛永12年整版とその改刻本・覆刻本もある。