奈良地域関連 | 電子画像集 | 学術情報センター |
針灸指南 | |||||||||||||||
|
| ||||||||||||||
|
改装小豆色古表紙。外題無し。内題「新刊針灸指南(巻之上)」。四周双辺(縦22.3cm×横18.0cm)。大黒口、花口魚尾、版心「指南巻上(下) (丁付)」。半面10行、1行19字。巻上13丁、巻下21丁。尾題「針灸指南(巻之上)」。朱句切り・朱引きを少々加う。上巻は、針灸に関する諸医書からの引用を、「医宜通針灸薬」「経脉循環度数」などと題して引用し、それについて片仮名交じり文で解説する。下巻は、人体灸穴図14図を掲げて、各灸穴について片仮名交じり文で説明する。匡郭四隅が密着しているなどしていて整版と誤認しやすいが、古拙な活字版である。巻下14ウ4には「嘔」字が転倒している例も見える。 伝本は稀で、本文庫本を除いては、布施巻太郎氏蔵本・小汀文庫求蔵本が知られている。『弘文荘待賈古書目』第8号(1936.11)第56図掲出の本と布施本・小汀本との関係は明らかでないが、本文庫本とは異植字の関係にあるようである。 針灸史上の資料であることは言うまでもないが、国語史研究上も活用されるものと思われる。「項コワルニヨシ」(下10ウ2)「コンロン」(下12ウ2)「胸イキル」(下14ウ2ほか)「虫クイハ」(下15ウ10)「ムミヤウシ」(無名指、下17オ6)など身体・病状関係の語が注目される。一般語でも「クホカナル」(窪)が普通に用いられ、「クボキ」が1例しか見えないことなども注目される。 |