平安時代初期の仏教説話集。 我が国最初の説話集は822年に成立した『日本霊異記』だが、本書はそれに次いで9世紀半ばに元興寺の義昭によって編纂された。 もと2巻58話あったが、久安3年(1147)の奥書を持つ龍門文庫本はそのうちの15話だけを抄出したもの。 現在知られる諸写本は皆この龍門文庫本の転写本であり、いずれも下端部分を欠く。表紙など近年の改装を経ており、第1丁は後補されたもの。 『龍門文庫複製叢刊1』(1958)で公刊されている。