刺繍種子阿弥陀三尊図

檀王法林寺所蔵
(京都国立博物館寄託)

絹本刺繍 縦84.4cm×横34.4cm 鎌倉~南北朝時代 14世紀

 阿弥陀三尊の種子(梵字)とまわりを取り巻く十二光仏および上方左右に配した賛を、髪の毛で(髪繍=はっしゅう)で刺繍した繍仏(しゅうぶつ)作品。阿弥陀の種子は、蓮華座に五鈷杵(ごこしょ)を横たえ、その上に独鈷(とっこ)を立て、さらに蓮華座を配した上に描かれる。手前には獅子香炉を乗せた前机と左右の華瓶が配される。
 『仏説無量寿経』巻下の偈の中の文言「其仏本願力、聞名欲往生、皆悉到彼国、自致不退転」(その仏の本願力により、(ほとけの)名を聞きて往生せんと欲(おも)えば、みな、ことごとくかの国に到りて、おのずから不退転(の位)に到らん=岩波文庫『浄土三部経』(大無量寿経)の読み下しによる)である(奈良国立博物館特別展「糸のみほとけ」2018展示図録ほかを参照しました)。

刺繍種子阿弥陀三尊図

刺繍種子阿弥陀三尊図