高津柿本神社所蔵資料電子画像集
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慈延 奉納三百首和歌



外題:なし(箱書:奉納三百首和歌)  内題:詠三百首和歌
数量:写本一冊  寸法:縦29.5×横20.8cm
装丁:五針袋綴  表紙:濃紺無地  料紙:楮紙
丁数:全三十五丁(うち遊紙 前一丁・後一丁) 一面十行
 奥書、識語、序跋等すべてなし。詠者は桑門慈延。慈延(1748―1805)は冷泉為村の門弟で、為村門下四天王と呼ばれたうちの一人である。
 この三百首和歌は、古今和歌集、後撰和歌集、拾遺和歌集の各集の歌百首ずつから、七文字の句を仮名句題として詠み込んだもの。歌の前行に七文字の 句題を書き、次行に歌を一行書きする。百首ごとに「古今集仮名題百首」「後撰集仮名題百首」「拾遺集仮名題百首」と題しており、それぞれ、春、夏、 秋、冬、恋、雑の歌からバランスよく引いている。「古今集仮名題百首」の巻頭歌は、古今和歌集二番歌「袖ひちてむすびし水のこほれるを春たつけふの 風やとくらむ」(紀貫之)から「春たつけふの」を引用して詠んでいる。各百首の巻頭歌と巻軸歌は以下の通り。
@巻頭歌「春たつけふの/雪のうちに春たつけふの峯の雲まづひとしほの色や見す覧」。
 巻軸歌「千とせのためし/さうゝゝの千とせのためし有が中に松は尽せぬ言の葉の道」。
A巻頭歌「歳もこえぬる/春と吹須磨の浦風あくるよの関路霞て歳もこえぬる」。
 巻軸歌「聖の御代に/今よりはひじりの御代の蒼生草と誰もなるべき身をぞたのしむ」。
B巻頭歌「年立かへる/花鳥の色音の外の春なれや年立かへる今朝の心は」。
 巻軸歌「八百萬代を/日の本の八百萬代をつぎゝゞに神やかぞへてさぞ守るらむ」。

解説:奈良女子大学大学院博士後期課程 大石真由香

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