高津柿本神社所蔵資料電子画像集 |
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外題:題箋に「[光格天皇宸翰三葉/後桜町上皇宸翰三葉]以下五十葉」と墨書 内題:なし 数量:一帖 寸法:縦41.4×横18.0cm(各短冊縦36.3×横5.5p) 装丁:折本 表紙:薄萌黄布地花唐草文 料紙:鳥の子(短冊:打曇) 見返し:金砂子 丁数:全七丁(一面に短冊二枚、全五十枚) |
堂上歌人の詠んだ法楽和歌の短冊帖六帖のうちの一帖で、重要美術品。新しく折本に仕立てられている。 巻軸の短冊(祝言/冷泉為泰)の裏に「御奉納/寛政十年三月三十日[石見国/柿本社/御法楽]」とあり、寛政十(1798)年三月三十日に 奉納されたものであることが分かる。 歌は春、夏、秋、冬、恋、雑の順に配置され、短冊の正式な書式に則った各作者の自筆短冊。ただしすべての短冊を通じて題は一筆である。 巻頭歌「山早春/石見のやたかつの山の朝霞たな曳そむる神がきのはる」を始めとする「聞郭公」「松鴬」「巌上苔」「月出山」「別恋」の巻頭 六首が光格天皇(1771―1840)、後桜町上皇(1740―1813)の御製だが、この御製六首中のどれが誰の詠かは区別しがたい。それに続き、春、夏、 秋、冬、恋、雑の歌が順に配置され、四十四首が並ぶ。巻頭歌は、『万葉集』所収の人麻呂作歌「石見のや高角山の木の間より我が振る袖を妹見つらむか」 (巻二・132)の本歌取りとなっている。巻軸歌は「祝言/あふぐにもまもりかさねて高角のやまとことの葉道ぞさかゆく/為泰」とあり、歌聖・人麻呂 の守ってきた和歌の道の栄えを寿ぐものとなっている。他に織仁親王、美仁親王、鷹司政煕、日野資枝等の名が見える。 参考文献:芦田耕一「柿本神社(益田市)蔵『堂上御奉納和歌』―紹介と翻刻―」『山陰地域研究(伝統文化)』第九号 1993年3月 解説:奈良女子大学大学院博士後期課程 大石真由香
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