高津柿本神社所蔵資料電子画像集
学術情報センター 電子画像 奈良地域関連資料

冷泉為村五首和歌



外題:なし(「五首和歌」と墨書した包紙に包む)
内題:巻頭に「詠五首(以下破損)」
数量:写本一巻  寸法:
装丁:巻子(軸なし)  表紙:なし  料紙:楮紙
 巻頭に「詠五首(以下破損)[毎首/置字]/澄覚」とある。筆跡は冷泉為村の自筆である。詠者・為村(1712―1774)は江戸時代中期を代表する 公家歌人であり、享保六(1721)年に霊元上皇から古今伝授を受けた。烏丸光栄、三条西公福らにも師事し、また関東の武家を中心に多くの門弟を 指導して冷泉門の拡大に大きく貢献した。そして明和七(1770)年に落飾し、法号を「止静心院殿寂源澄覚」と称した。
 奥書等はないが、この五首和歌は為村が「澄覚」と号した明和七(1770)年以降、安永三(1774)年に没するまでの間に詠まれたものであろう。 各歌の頭字(最初の文字)に「千いそとし」の各文字(五字)を置いて歌を詠じている。この「千いそとし(=千五十年)」とは、柿本人麻呂一千年忌 法要の営まれた享保八(1723)年よりさらに五十年が経過した年であることを意味すると考えられ、これが安永二(1773)年に奉納されたものであると 推定される。巻頭歌は「千年へて猶たかき名をかさねこしはなもいく重のみよしのゝ春」、巻軸歌は「しきしまやくにうごきなき石見がたあふぐめぐみも 高角のみや」。

解説:奈良女子大学大学院博士後期課程 大石真由香

© 2010-2014 高津柿本神社, 奈良女子大学学術情報センター