東大寺山堺四至図

模写本

奈良女子大学所蔵

天平勝宝8(756)歳6月9日に作成された、東大寺の寺域を示す図。原本は3枚の麻布を縫い合わせ、縦229センチ、横223センチ、北を上に描く。全面に約14センチ間隔で縦横に朱線が引かれ、東大寺の伽藍は、大仏殿・羂索堂・千手堂などは立面図で描かれ、戒壇院・東塔・西塔などは区画のみを記す。西辺の「西大門」は二条大路(奈良女子大学のすぐ南を通る東西道)に開き、「佐保路門」は転害門のことで一条南大路(現・一条通)に面する。北・東には寺域に含まれる多くの山・川が、そして南には山階寺(興福寺)の東松林、新薬師寺の堂などが描かれる。退色著しいが、彩色が施されている。もとは東大寺東南院にあったが、明治になって正倉院に納められたとみられる。本模写本は紙に実大で写したもので、昭和11(1936)年11月に奈良女子高等師範学校が購入したものであるが、それ以前の伝来は不明である。  

原本

原本(宮内庁正倉院所蔵)

模写本

模写本(撮影:奈良文化財研究所)