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学術情報センター 画像DB 伊勢物語

勢 語 臆 断

版本五冊。袋綴。25.7cm×18.1cm
墨付、巻一43丁、卷二44丁、卷三45丁、卷四46丁、卷五47丁
差綾形空押し鉄色紙表紙(原装)
刊記「享和三年癸亥初春発行」「嘉永二酉年求板」
 見返し題に「契沖阿闍梨著/勢語臆断 全五冊/浪華書肆 青木嵩山堂」

本 文 翻刻付 

 契沖(1640〜1701)の著作である。元禄五年(1692)秋頃成り、享和二年(1802)春はじめて刊行された。
 版本には享和二年刊行の四冊本と享和三年刊行の五冊本の二種がある。本書は嘉永二年(1849)に求板・後印の五冊本。

 その注釈は語意の釈義、語格の吟味等特にすぐれ、史実の考証も精細である。
 多彩な文献を引用して常に学問的裏付けをなし、新鮮味に満ちたその解釈は、新注として一時期を画した。引用本文は定家本中の流布本によるが、真名本に対して深い関心が払われているのも注目される。

 契沖は尼崎に生まれ、十一歳で大阪今里の妙法寺に入る。二十三歳の時曼陀羅院の住職となり、この頃下河辺長流を知る。後、妙法寺の住持分となるが、やがて円珠庵に隠棲した。 元禄三年(1690)に『万葉代匠記』の精撰本を書き上げた契沖は、ひきつづいて『厚顔抄』『古今余材抄』などを次々と著作し、古典研究者として最も円熟した時期に入った。『勢語臆断』はこの頃、契沖が五十三歳の時に書かれたものである。

(解説は文学部言語文化学科日本アジア言語文化学研究室のご協力を得ました)