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伊 勢 物 語 古 意
附 よしやあしや
版本七冊。袋綴
本 文 翻刻付
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伊勢物語古意
賀茂真淵(1697〜1769)の作。宝暦三年(1753)頃の成立と考えられる。本書巻頭の秋成の序文に「こたび伊勢物語のいにしへなるこゝろをときあかせしふみ、あがたゐの翁のしるしおかれしを世に推広むとて」とあるように、「古へ」に遡って作品の「意」を捉えようとした真淵の方法は、契沖の『勢語臆断』や荷田春満の『伊勢物語童子問』の説を一歩進めたものである。旧注に対する検討整理、その考証も精緻でる。真名本を底本本文としているのも大きな特徴である。
著者である賀茂真淵は元禄十年(1697)遠江国の生まれ。享保十八年(1833)三十七歳のとき、京に出て荷田春満の門に入った。延享三年(1746)の秋より田安宗武に仕え、以後十五年間古学を講じた。この年真淵は五十歳で、この頃から生活が安定し学問も円熟に向かい、宝暦二年(1752)には『万葉新採百首解』を成し、翌年五十七歳の頃『伊勢物語古意』を書き上げた。
当時真淵は『源氏物語新釈』『大和物語直解』など他の中古文学関係のものの筆もとっており、その関心が平安朝的なものに最も向けられていた。よしやあしや
上田秋成(1734〜1809)の著作。寛政五年(1793)九月、賀茂真淵の『伊勢物語古意』を秋成が刊行するのに併せて刊行したものであり、『古意』の補説の形で、「此物語の題の説」の他、語釈などの五十二条の諸問題を論じている。各条の説くところは真淵の考えに必ずしも拘泥せず訂正するところもあり、総じて秋成の才気がうかがえるとされる。
著者である上田秋成は、『雨月物語』などの著作で知られるが、国学者としても多くの仕事を残した。享保十九年(1734)大阪曽根崎に生まれ、明和三・四年(1783,4)頃加藤宇万枝に師事、 賀茂真淵風の国学にふれる。天明年中には本居宣長と論争を重ねた。天明七年(1787)、大阪の北淡路庄村へ退隠してからは、国学書の編刊に努めた。
自著『よしやあしや』を付した『伊勢物語古意』を刊行したのは寛政五年(1793)六十歳の時で、さらに京都に移った頃である。