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参 考 伊 勢 物 語版本三冊。袋綴。26.3cm×18.4cm墨付、上51丁、下38丁、附録13丁。利休茶色紙表紙(原装) 刊記「文化十四年仲春刻成/製本弘所/京都書林 (堀川高辻上ル)植村藤右衛門 /大坂書林 (心斎橋安堂寺町)秋田屋太右衛門 /江戸書林 (浅草新寺町)和泉屋庄次郎 /(池端仲町)須原屋伊八/彫工 朝倉八右衛門」 見返し題に「恩頼館蔵板」
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屋代弘賢(1758〜1841)の作。附録に物語中の難語十二語についての考証一巻を付して文化十四年(1817)に刊行された。
北村季吟の『伊勢物語拾穂抄』を本文に据えて朱雀院塗籠本・為家筆本・時頼所持本・為相筆本・真名本などで校合した校勘本である。塗籠本をはじめとする当時の新資料的本文が紹介されたのは貴重であった。
校合は厳密ではなく、むしろ難語の理解をはかる手段とされたことがうかがわれる。著者である屋代弘賢は、江戸に生まれ、国学を塙保己一に学んだ。天明元年(1781)西丸御台所に出仕したのを初めとして、本丸付書役になり、寛政五年(1793)には御奥御右筆所詰支配勘定格となった。弘賢は書に優れるばかりでなく漢籍や国書にも通じ、また故実・考証の学にも深く、『寛政重修諸家譜』『古今要覧稿』の編纂や、塙保己一を助けての『群書類従』の編纂校訂に従事している。