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学術情報センター 画像DB 伊勢物語

伊 勢 物 語 新 釋

版本六冊。袋綴。26.3cm×18.5cm
墨付、卷一48丁、卷二49丁、卷三34丁、卷四53丁、卷五58丁、卷六57丁
水色布目紙表紙(原装)
刊記「文政元年戊寅九月彫成/奴弖能舎蔵板
 /製本所/京都 吉田四郎右衛門/植村藤右衛門/小川武右衛門/城戸市右衛門
 /江戸 和泉屋庄次郎/大坂 河内屋儀助」

本 文   翻刻付

 藤井高尚(1764〜1840)の著書。文化十年(1813)一月に成り、文政元年(1818)に刊行された。京都にある鈴屋学派の学舎、鐸屋(ぬでのや)の蔵板。
 『勢語臆断』『伊勢物語古意』『伊勢物語拾穂抄』を主たる批判対象とし、また師説として本居宣長の説を引用している。
 本書に掲げる本文が塗籠本や真名本を多く採り入れた混成本文であり、文意の通り易さを主とした本文である点が問題ともされるが、文学としての『伊勢物語』を解釈しようとし、鑑賞的態度を特色とする点で、後世の諸注釈書に大きな影響を与えた。

 藤井高尚は、明和元年(1764)備中国に生まれた。和歌を京の栂井一室に、和漢の学を備中笠岡の神官小寺清先に学んだ。寛政五年(1793)三十歳の時、京に遊学し、ついで松坂に下って本居宣長に会い入門した。平安朝文学に対する正確な知識と教養とをもとに和文に秀で、宣長によって早くから文才を認められる一方、中古物語研究に力を注ぎ、師の没後は関西における鈴屋派の泰斗と目され、文化・文政年間には著書を次々と上梓した。

(解説は文学部言語文化学科日本アジア言語文化学研究室のご協力を得ました)