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伊 勢 物 語 残 考
版本一冊。袋綴。26.0cm×17.8cm。墨付131丁。 黄蘖色紙表紙
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高井宣風(1743〜1832)の著。文化五年(1808)刊。奈良女子大本は、もと三巻三冊を合一冊に改装したもの。
宣風は、信濃の人、通称は伊十郎、号は春雨亭。著書に『万葉集残考』『名家和歌集』『言葉書題集』等がある。本書は、伊勢物語の本文を掲げて、その解し難いと思われる句の下に細字二行に注釈を書き入れたものである。初学者に対する入門書とするため、詳しくは、同じく宣風の著作と思われる「後違考 前後十冊」に譲り、できるだけ故事・詩等は略したという。「後違考」の名前は、本書巻末の「春雨亭書目録」中にも「後違考 前後十冊」と見えるが、実際に出版されたかは不明。また、「残考」の名については「故人のもらせしを考」えた故であると跋文にある。
なお、号の春雨亭が同じであることから、この書の著者は似雲であるといわれていた時期があった。しかし、この書の末にある出版案内の春雨亭書目録中の『萬葉集残考』が、明らかに高井宣風著であることから、『伊勢物語残考』の著者も宣風であることが確認できる。