奈良女子大学学術情報センター
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女 諸 礼 集

本文 翻刻付き
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  翻刻文の作成については、本学文学部日本アジア  
  言語文化学講座学生山本彩さんの協力を得ました。 

解 説

  6冊、一之巻〜七之巻まで。1660(万治3)、著者・編者未詳。
 江戸時代初期の女性用 礼法書。教養的な側面と礼義作法を説く四季の衣裳、年中行事、婚礼儀式、諸道具、産 育儀礼などについて、絵図、使用方法、寸法、服喪による暇期間など主に上層階級に仕 える女性にとっての専門的な教養と礼義作法が述べられている。内容的に上層の生活風 俗を知る上でも興味深い資料といえる。
 収録書名は外題による。山田市郎兵衛(京都)。六之巻の奥付に「右女之躾方、千世雖 在数多/今当加増補、名女諸礼/集成改令版行也/于時万治庚子年青湯吉旦/山田市郎 兵衛新辞」とある。版元の山田市郎兵衛は、矢島玄亮(『徳川時代出版者・出版物集覧 』1976)によれば7冊の出版物がある京都の書肆。
 万治3年版は、『国書総目録』や『女子用往来刊本総目録』(小泉吉永編、大空社、199 6)などでは田中文内(京都)板、舛屋平兵衛(京都)板が知られているが、本書は五巻 以降の目次に整合性がなく、類似書の一例と思われる。
 本書の構成は、各巻冒頭に目次、本文と続く。目次は原則的には「●●の次第」、次に「● ●の次第」の小見出しとして「●●の事」が並ぶ。目次の項目と本文とは概ね一致する が、巻五、六、七は見出しの書き方も異なり、また目次にあって本文にないものが多い 。指南書であるため随所に見開き挿し絵入。なお、万治三年出版の京都・田中文内版の 影印版が 、江戸時代女性文庫61巻(大空社, 1997)に所収。増田淑美氏による解題参 照のこと。同解題で乱丁の例として紹介されている六之巻の一つ書の最初は本学所蔵版 では五之巻にある。
 各巻の目次を抜粋しておくと以下の通り。

一之巻
<箇条書3条;本文では「女房常にわきまふべき色々」)
女ばうしつけかたの次第
よろづくいかたの次第
くいかたかよひの次第
★なお一之巻目録中にある「ぢよちうかたかよひの次第」と「みやづかへする人心 いれの次第」は七巻にある。
二之巻
嫁取云入真草の次第
よめ入の次第
嫁取言入の次第
三之巻
真のしうげんの次第
さうのしうげんの次第
女房向輿座入の次第
きゃう膳の次第(絵)
草の祝言の次第
 祝言関係では水指黒棚の図、
四之巻
産屋の次第
誕生の次第
元服の次第
五之巻 (以下5.6.7巻は、目次と本文が異なるため、本文中の「●●次第」からとっ た)
酌取やうの次第
六之巻 
みすの事
飾三方膳の次第
服いとまの次第
七之巻
ぢよちうかたかよひの次第
みやづかへする人心いれの次第

          立命館大学講師  長 志珠絵

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