奈良女子大学学術情報センター |
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本朝美人鑑 | ||
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翻刻文の作成については、本学文学部日本アジア言語 文化学講座学生五十嵐弓子さんの協力を得ました。
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解 説内題、序文とも書名は「本朝美人鑑」(ほんちょうびじんかがみ)。2冊、巻一・巻五 。
ともに25丁。『国書総目録』及び本資料の目次からは5巻5冊あったことが知れる。本学 所蔵のものは、そのうち、第一巻、第五巻のみ。教訓ものの仮名草子。挿し絵入り。貞 享4(1687)の序文があり、跋文に江戸の西村利右衛門、霧屋喜右衛門の書肆名が見え る。改題本としては『和国玉かつら』が知られる。本書は、巻一に各巻の目録が配され ており読者の便宜が図られている他、漢字にはふりがなが多く用いられる体裁が取られ ている。漢字にふりがな入りは教訓書に多い体裁。絵は半丁分。物語の主人公となる女 性は、家屋、関係人物などと共に描かれ、挿し絵右肩にその名が記される。
本書「本朝美人鑑」(ほんちょうびじんかがみ)は、序文によれば、古今の「美人」と して著名な女性のうち、「位階富貴」を選ばず、「誠に美の道に達しこころはえかしこ き」女性をとりあげ、一般女性にとっての手本=鑑としていく、とある。
取り上げられた女性は、画像データの巻一目録を参照いただきたいが、『古事記 』に登場する衣通姫(そとおりひめ)」以下、『古今集』などに題材をとって弁内侍( べんのないし)」に至るまで概ね時代を下がって中世まで、巻一(一〇人)、巻二(九 人)、巻三(八人)、巻四(四人)、巻五(五人)の合計三六人が取り上げられている 。もっともそれぞれの女性の「鑑」のあり方、美しさの基準の取り方は多様で一貫して いない。むしろ、それぞれの女性の伝説の紹介、作者による時代考証などに主題があり 、現存する和歌の作者として比定したり、寺社に残る遺品(遺髪、鏡)などの所有者と して推定したり、といった伝説の考証を行っている点に特徴がある。
挿し絵は本文に対応していないので、挿入されている丁を以下記しておく
。 巻一、衣通姫(1丁)、光明皇后(5丁)、孝謙天皇(7丁)、小野頼風妻(9丁)、香久 夜(12丁)、小野小町(15丁)、伊勢(17丁)、中務(19丁)、紫式部(21丁)、和泉 式部(23丁) 巻五、塩冶判官室(2丁)、句当内侍(12丁)、伊賀局(18丁)、弁内侍(21丁)、義 政 公室(24丁)
立命館大学講師 長 志珠絵