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佩戒繪入女小學

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  翻刻文の作成については、本学文学部日本アジア言語  
  文化学講座学生大西由美子さんの協力を得ました。   

            解 説
 題簽「(佩戒絵入)女小学」、見返「(佩戒)女小学」。「佩戒」は 「おものゝいましめ」と読む。不分巻2冊。享保10(1725)年3月江戸小河 彦九郎・大坂敦賀屋九兵衛板。
 序文中に、「抑此佩の戒は、過し頃みやこのうち宇保何某とかや、其 女を人のかりやるとて、はなむけに書てあたへぬる教訓の文也」とある ことから、著者が京都の宇保という人物であることがわかるが、詳細は 不明である。序文の執筆者も不明。末尾に艮斎なる人物の跋文を付す。 この跋文によると、本書は慎斎なる人物が家蔵の写本を刊行したものら しい。冒頭の目録は、原著者の手に成ったものではなく、本書の刊行者 が作成したものであろう。
 本文冒頭の二字分低く書かれた一節は前書きにあたる内容。この一節 を別とするなら、本文は全部で29条よりなる。宇保氏が伯母の養女とな る娘よつに手向として与えた教訓書。本文末尾には、「よつや、・・・心 をうつし見るかかみ(=鏡)ハ父が筆のあとなりとおもひて、をこたら ずよむべし」とある。朱子学の考え方が比較的高い頻度で援用されてい ること、教えを説くにあたって和歌がしばしば利用されていること、な どが、他の女子向け教訓書と比較した場合の本書の特色であろう。
 また、本書は、のちに幾種類もの「女小学」が本書を原型として刊行 されたという点でも、注目に値する。この点については、『女小 学教草』(準備中)の解題を併せて参照されたい。
 なお、本書は、『往来物大系』第85巻(大空社、1994年)に影印され ており、『(マイクロフィルム版)往来物分類集成 女子用往来編』 (雄松堂フイルム出版)にも収められている。 ちなみに、『往来物大 系』も『往来物分類集成』も『女子用往来刊本総目録』(大空社、1996 年)も、跋文の著者「艮斎」を安積艮斎(1791〜1860。幕末の儒者)に 比定しているが、彼の生没年から考えて、これは誤りである。

神戸大学国際文化学部講師 宇野田尚哉

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