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我 津 衛

          1817年刊 

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解  説

 手島堵庵の著作.安永4(1775)年初刻本刊(循古堂蔵版,弘所は京都書林小川多左衛門ほか),寛政元(1789)年再刻本刊(大坂明誠舎静安舎蔵版).このK11/150は後者の後印本で,文化14(1817)年大阪伊丹屋善兵衛刊.初刻本には宝暦9(1759)年の著者自序,明和7(1770)年の布施矩道(松翁)の序文を冠し,再刻本にはさらに寛政元(1789)年の上河正楊(淇水)の跋文を付す.上中下3巻3冊,計45条.
 著者手島堵庵(1718-1786)は,石田梅岩の高弟で,心学講舎の制を定めるなど,心学の普及に大きな功績のあった人物.『我津衛』は著者42歳のときの著作.
 自序に,「常々宿老にきけること,耳にとゞまり腹に記して,日用予が杖とし, 世の中をわたるたすけとなし侍れば」云々とあるように,『我津衛』(わがつえ)とは,「予が杖」の意で,日々世の中を渡っていくうえで堵庵がよりどころとしている教えのこと.本書では,その教えが,宿老の物語に託するかたちで,語られている.具体的内容は,目録を一覧すれば了解されるように,主従夫婦親子の心得,商売渡世上の心得など,日常卑近な教えである.
 なお,本書は,『(増補)手島堵庵全集』(清文堂,1973年)に収められている.

神戸大学国際文化学部講師 宇野田尚哉

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