奈良女子大学学術情報センター
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女 大 學 寶 箱

1848刊

本 文

解 説

 題簽「益 女大学宝箱 全」、見返し表紙「益軒貝原先生述/女大学寶箱/浪華書肆耕立堂蔵版」、刊記は「弘化五年戊申(=嘉永元、1848)三月吉日」、書肆は「江戸須原屋茂兵衛 大坂柏原屋清右衛門・伊丹屋善兵衛・服部屋幸」による八版。
 一般に「女大学」と称される書物は、この『女大学宝箱』を言う。江戸中期以後版を重ねたベストセラーで、多くの版元が異本を出版した。本学所蔵のものも八版と版を重ねている。
 内容的には婦人の日常の心得を説いた女子教訓書であり、一九の箇絛と結語から構成される。
 「女大学」本文部分については、石川松太郎編『女大学集』(平凡社・東洋文庫、1977)の解説に詳しいが、近年の研究では、字体や流通など書物としての特徴に関心が向けられ、上下二段になった構成、本文と密接な関係をもたない頭書部分や豊富な挿絵、末尾の付録部分といった、本文以外の様々な記事の持つ一般教養的だったり、図解を使ったマニュアル書としての性格が注目されている。
 『女大学宝箱』が出版された一七世紀後半〜一八世紀前半は、出版文化が成立する時代であり、『女大学宝箱』は数多く出版されていた女性用の教養書の集大成的な性格を持っている。版元は本文以外を自在に編集し、商品化していったのである。
 本学所蔵のものは、三七丁までは挿絵が中心のカルタ(「南京八景」「十二月色紙和歌」「源氏物語」)であり、いわゆる「女大学」が二段組で掲載されるのは、三八〜五五丁である。五六丁以降は三段組となり、上段は百人一種、中断は尭舜をはじめとする中国偉人伝、下段は「世継草」「小児養育草」など文芸的教養から出産育児に関わる実用的知識に関して豊富な知識を提供する一冊となっている。
 参考文献 横田冬彦「『女大学』再考」(『ジェンダーの日本史・下』東京大学出版会、1995)、中野節子『考える女たちー仮名草子から『女大学』ー』(大空社、1997 )

          立命館大学講師  長 志珠絵


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