奈良女子大学学術情報センター |
|
女 重 寳 記1847刊
翻刻文は別ブラウザが開きます |
元禄5(1692)年に刊行された艸田寸木子(苗村丈伯)の『女重宝記』を改訂増補したもの.巻頭・巻末・版心「女重宝記」.題簽「(絵入日用) 女重宝記」.5巻1冊.弘化4(1847)年初春刊.このK33/14はその後印本である.高井蘭山編輯,応為栄女画図.
高井蘭山の序文に,「(元禄版の『女重宝記』は)女日用の種々まめにあつめたれどもそはた流行におくるゝ事多し.只過し世のさまを今見るのおもひあり.・・・今其謬を訂し足らざるを補ひあらたに梓行せん」と述べられていることからも知られるように,100年以上前に刊行された『女重宝記』を時代にかなうよう改訂増補したのが本書である.参考までに,新たに増補された箇所を目録によって示すと,次の通りである.
二之巻 貝合の起元・ 天児の事,三之巻 古方医家帯の説・ 子を求る秘密の事,巻之四 女中把針のわざゆだんなく心がけべき事,五之巻栄花物語の目録・ 宇津保物語の目録・ 女中名づくし并二字名共五性にあはせしるす.なお,挿画も当世風に改められて,一部は色摺となっている.
編輯者の高井蘭山(1762-1838)は,江戸芝伊皿子組屋敷の与力.漢籍・往来物・女教訓書・字書等を童蒙向けに俗解した書を数多く著したことで知られる(『国書人名辞典』).蘭山の没年から考えて,序文の干支「己丑」は,文政12(1829)年のことであろう.
『女重宝記』の詳細については,K11/228『女重宝記』の解題を参照されたい.また,『女重宝記』の諸本については,島田勇雄「女重宝記の諸本について」(神戸大学「近代」発行会『近代』第39号)が参考になる.神戸大学国際文化学部講師 宇野田尚哉