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女 訓 唐 錦

 

翻刻付き



 内題・尾題「唐錦」.題簽・見返・版心には「女訓唐錦」とある.2巻2冊.明治18(1885)年3月21日版権免許,同19年1月出版御届.訂正人師岡正胤,出版人藤野正啓.
 本書の著者は,大高坂維佐子(おおたかさ・いさこ,1660−1699).伊予松山藩儒大高坂芝山の妻で,藩主の室に仕えた(『国書人名辞典』).

 『唐錦』は,寛政12(1800)年に,裔孫大高坂延年の序文を冠して刊行されているが,その序文には,「予が先祖考芝山が配,藤氏字維佐,幼くして学を好み,博通淹識,国籍及び歌に於て特に思ひを致す.元禄中,越智侍従公,維佐の著述を請ひ,是に於て『唐錦』十三巻を撰び,芝山之が 気魄戮掘そ饑 譴蝓デ気曾瑤鮖・掌・肪廚后廖文挟訴検砲箸△蝓に椽饑 稜愀覆 里蕕譴襦イ燭世掘い海量声19年本では,延年の序文は削除されており,かわりに藤野・師岡の序文が冠せられている.藤野の序文によると,寛政版は藩主の許可を得ていなかったため絶版にされたという.

 『唐錦』は,女則5巻9章(春の巻〔学範第一・卑弱第二〕・夏の巻〔婚礼第三・孝行第四〕・中央の巻〔貞烈第五〕・秋の巻〔内治第六・胎養第七〕・冬の巻〔母道第八・婦功第九〕)・装束抄1巻・姿見1巻・写絵1巻・古教訓1巻・柳桜集4巻からなる.女性の学問や装束,和漢の貞女の事跡など,さまざまなことについて述べられている.各巻の内容については,著者自身が総目録の冒頭で簡潔に説明している.

 なお,『唐錦』は,寛政12年本が,『日本教育文庫』女訓篇(日本図書センター,1977年)に翻刻されている.

神戸大学国際文化学部講師 宇野田尚哉

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