奈良女子大学学術情報センター
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童  女  筌

巻 一
   
巻 二

    解  説

 書名『童女筌』。2巻2冊。巻1は明治9(1876)年7月に,巻2は明治10(1877)年1月に,文部省より刊行された。
 大井鎌吉の序文(明治8〔1875〕年11月)によると,本書は,イギリス人女性L.ファレンタイン編修の『ゲアルス・アウン・ブック』(1873年,ロンドン)を在日オランダ人ファン・カスヲールに委嘱して翻訳させ刊行したもの。ただし,大井の序文に続く2首の原序(「童女筌原序」・「重訂新刻童女筌序」)からは,本書の著者は「原序」の執筆者リヂャ・メライヤ・チャイルドであり,1873年版はファレンタインによるその改訂版であるらしいことが知られる。
 チャイルドは,「原序」で,女子を「善ク教育スルコトハ甚タ緊要」であり,「是レ乃チ余カ此童女筌中ニ女児輩百般ノ事業ニ就テ必ス其一二ヲ詳説シ集成シテ記載スル所以ノ旨趣」である,と述べており,著者の本書述作の意図を知ることができる。
 本書の内容は,多岐にわたるが,「重訂新刻童女筌序」の次の一節を参照するなら,その概略を知ることができよう。「此書中遊戯ノ諸篇ニ於テハ一モ増損スル所無シ。・・・又舞踏ノ篇ハ再ヒ改訂シテ之ヲ筆記シ,会話態度図画音楽及ヒ時ノ用法等ノ篇ニ於テハ唯其ノ条款ヲ増加スルノミ。・・・又裁縫ノ手工・・・等ノコトニ関渉スル諸条款ハ特ニ今般ノ再刻ニ就テ陳述スル所ノモノナリ。・・・又歌唱スル鳥及ヒ談話スル鳥ニ関係スル所ノ教誡ハ家禽ヲ養フコトヲ楽ムモノゝ為メニ必ズ有用ナルベシ。且少年輩ノ学知スベキ本草物産学ノ大体モ亦少許ノ増補ヲ做セリ」云々。

         神戸大学国際文化学部講師 宇野田尚哉



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