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 日 本 将 来 之 婦 女

 

 

目   次

  解  説

 書名『日本将来之婦女』。中山整爾(経国学人)著。明治20(1887)年11月25日版権免許,明治21(1888)年3月10日印刷出版,東京・自由閣刊。 明治21(1888)年1月の尾崎行雄(愕堂居士)の序文,同年同月の浅野乾(乾坤居士)の序文,同年2月の著者の「例言」を冠す。
 目次は次のとおり。これによってほぼ本書の内容を知ることができるだろう。このうち,第5篇は,附論と言ってよい位置づけになっている。

第1編 日本婦女の現状
第1章 権利の範囲 / 第2章 職業の在様 / 第3章 男女の関係
第2編 日本婦女の前途(其一)
第1章 権利を論す / 第2章 職業を論す / 第3章 交際を論す
第3編 日本婦女の前途(其二)
第1章 女子教育の拡張 / 第2章 男女交際の改良
第4編 日本婦女の要務
第1章 独立生計の要を説く / 第2章 知育を説く / 第3章 徳育を説く / 第4章 体育を説く
第5編 廃娼妓論
第1章 政治上の立論 / 第2章 経済上の立論 / 第3章 道義上の立論 / 第4章 人権上の立論 / 第5章 反対説の弁駁

 「今の婦人ハ男子の奴隷と同様なり,智力もなけれバ財力もなく,只空々寂々として男子の意に之れ随ふの在様なり」(67頁)というのが,著者の現状認識であるが,著者は,時勢の進歩(日本の文明化)とともにこのような現状は改良されるはずであるし,また改良されねばならない,と考える。そこで著者は,天賦人権論の立場から,「男女同権同職同地位を唱導」(54頁)するのである。具体的に言うなら,著者の強調している論点は,これまでなおざりにされてきた女子教育を充実させること,女性に対して抑圧的な因襲的男女関係を改良すること,女性も職業を持ち独立生計を営んで経済的に自立しうるようにすること,などである。

         神戸大学国際文化学部講師 宇野田尚哉

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