奈良女子大学学術情報センター
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古 今 烈 女 傳

 

  本  文

 

  解  説

 外題「古今列女伝」。見返しでは「古今」は角書となっている。山高幾之丞編輯,伊勢・郁文堂(松田 三郎)刊。明治18(1885)年7月14日版権免許御願,同年9月15日免許。手書きで「同十九年一月廿二日出版」とあり,「定価拾五銭」という朱印が押されている。不分巻1冊。冒頭に東京女子師範学校の図などを置く。
 本書の本文部分は25丁から成り,半丁に1人を割り振るかたちで計50人の女性が取り上げられている。半丁分の紙面は上下に区切られて,下段にはその女性の図と歌が,上段には伝が記されている。50人の女性の属する時代はまちまちだが,幕末から明治にかけての女性が少なからず含まれているという点は,本書の一つの特徴であると思われる。参考ま でに,次の2例を引いておく。
 「蘭女ハ,越前福井ノ士族岩生茂ノ妻ナリ。幼時ヨリ学問ヲ好ミ,尤モ書画ヲ善クス。茂,米国ニ航シ学ヲ修ム。不幸病ニ罹リ中道ニシテ死ス。蘭女,此訃音ヲ得,悲歎堪エス。此歌ヲ詠シ,亡夫ノ霊ニ供ス。後屡再嫁ヲ勧ムルモノアレトモ,更ニ肯ハズ。竟ニ福井女学校ノ教師トナリ,節操益著ル。依テ人其貞烈ヲ称シテ近代ノ女鑑トナス」(3丁ウラ)
 「花渓ハ摂津ノ産ニシテ,博学高才ノ名アリ.家塾ヲ東京猿楽町ニ開キ,跡見学校ト称シ,又三宜樓ト号ス.花渓,書画ヲ善クシ,兼テ和漢ノ学ニ通ス.是ヲ以テ門人頗ル多シ.高貴紳士ノ息女ニシテ文筆ニ名アルモノハ,概ネ其門人ニアラザルハナシ.時ニハ衆クノ門人ヲ連レテ宮中ニ召サレ畏クモ 御前ニ書画ヲ作ルノ栄ヲ得,又ハ支那公使ノ招待 ヲ得,席上ニ揮毫シ,清客ヲシテ絶賞セシムルハ,実ニ稀世ノ女史ト謂フベシ」(12丁ウラ)。
 なお,この97/362『古今列女伝』では,第15丁が重複しているので,注意を要する。

         神戸大学国際文化学部講師 宇野田尚哉

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