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令和5年新年互礼会を開催しました(1月4日オンライン開催)

 教職員の皆さま、あけましておめでとうございます。新年互礼会に当たって、いくつかお伝えし、お願いすることがあります。項目ごとにお願いすることにします。9項目あります。

1.新型コロナウイルスは現在第8波の途中です。1月上旬にピークが来ると予想されていますが、丁度共通テストとタイミングが合います。気を付けながら、進めたいと思います。これまで通り、基本的な感染対策の徹底をお願いします。
 
2.ウクライナ侵攻は物価高を招いています。少し落ち着きましたが円安と相乗効果で、物品の調達が困難になっています。実際、光熱費の高騰は大学経営に深刻なダメージを与えています。昨年に続き後3か月、そして来年度も緊縮財政になりますので、よろしくお願いします。
 
3.外部資金獲得の重要性が増しています。まずは科学研究費です。幸い昨年は回復の傾向が出ましたので、この傾向が維持でき、さらには高額の研究費にチャレンジすることを望んでいます。
また、個人教員の寄付金も重要な外部資金の一部になります。意識して獲得できるように努力をお願いします。
 
4.新法人奈良国立大学機構が出来て9か月が過ぎました。ミッションにおいては、二つの大学が従来の伝統を維持して、さらにそれを強化することが謳われています。そしてキーワードが「総合知」です。
ビジョンにおいては、「学生と教職員が、地域や社会の多様な人々とともに、学び合い、支え合い、高め合う組織を形成する。」と結ばれているところが肝心です。
基本に立ち返りますと、今朝の榊理事長のご挨拶にありましたように、大学の3機能は、教育・研究・社会貢献です。
教育では何を教えたかだけではなく、どのような人材を育成したかが問われています。このことを明示するために、ディプロマポリシーとカリキュラムポリシーがあります。そしてそのような人材になる素質を見極めるのがアドミッションポリシーです。各学部では「ディプロマ・サプリメント」の作成、大学院では「トランスファラブルスキル」の教育について確認・検討をお願いします。
研究では、当然のことですがオリジナルな研究が大切です。単にオリジナルであるだけではなく、その研究が発端となり次々と成果が表れるような研究、つまり太い根や太い幹となる研究が理想です。理事長のお言葉では、異分野交流と海外交流が良い研究のヒントです。
教育と研究に関連して、国際交流が大きな柱になっています。政治・経済ではグローバル化あるいは反グローバル化の考え方がありますが、教育・研究では国際交流は輝きを失っていません。ポスト・コロナの時代では、違う文化の人々との交流は増すばかりです。違う文化との交流は、学生の人格形成に資すること、研究者の豊富なインスピレーションになることが知られています。「国際戦略センター」の設置が認められましたので、両大学が協力して機構として推進していくことになります。
次に社会貢献です。平成18年に教育基本法が改正され、社会貢献が大学の役目に追加されました。当初は公開講座などがそのイメージでしたが、現在は全く違います。社会の中心になって、その行く末を先導することが求められています。地域のプラットフォームがその典型例です。
昨年12月23日に、奈良県で産地学官プラットフォームを作る準備として懇談会を開催しました。奈良国立大学機構が働きかけ、実際に動き始めました。今後、受託研究・共同研究の問い合わせが増えると思いますので、対応をよろしくお願いします。
 
5.ミッションのキーワードである「総合知」についてお話しします。英語ではConvergence of Knowledgeと言います。Convergence(収斂)は Divergence(発散)の反意語です。以下は私の解釈です。令和3年度から令和7年度までの第6期科学技術・イノベーション基本計画では、新しいことが2つありました。一つ目は「人文・社会科学」を加えたこと、二つ目は「イノベーションの創出」を柱にしたことです。この科学技術・イノベーション基本計画を着実に遂行するためのマニュアルが「総合知」です。科学技術だけでなく人文・社会科学の知を総合して、イノベーションに収斂するのです。事例については、内閣府の「総合知」ポータルサイトをご覧ください。東京大学とダイキン工業との「空気の価値化」共同研究などが事例として掲載されています。
なお、基本法第6条に「大学等は、―中略―、人材の育成並びに研究開発及びその成果の普及に自主的かつ計画的に努めるものとする。」とありますように、自主的かつ計画的に努めることが、今後の大学経営の要であると思われます。
 
6.事務職員の皆さん、法人統合に向けての大仕事大変ご苦労様でした。100年を超える両大学の伝統を統一することは困難な部分が多くありました。実際昨年4月時点で9月末まで積み残した案件がありました。これらは10月には解消されました。
そして昨年の4月に入ってからは、法人の事務と女子大学の事務に分かれ、戸惑う部分が多かったと思います。また、新しくできた仕事も増えています。ご苦労が多いと思いますが、これからの時代は「チームプレイ」の時代で、教職協働が普通のこととなります。よろしくお願いします。
 
7.附属学校園にとってこれからの1年は、とても大きな1年になります。第4期中期目標期間の3年目つまり令和6年度に外部評価を受ける計画になっています。法人統合をした後に、奈良教育大学の附属学校園との関係を含めて、整理し、将来ビジョンを策定する必要があります。課題は大学との関係そして社会との関係を教育と研究の立場から明確にしていくことです。私は、最重要課題の一つと考えています。
 
8.アドバイザリーボードについてです。既に12名の方々にアドバイザリーボードをお願いしています。昨年12月4日にアドバイザーの一人である反田恭平氏による「反田恭平の人生レッスン」が本学の講堂で開催されました。
これから本学の役職者宛に、アドバイザー担当者の依頼を出します。積極的に対応してください。そしてアドバイザーから有益な情報を引き出す工夫をお願いします。
 
9.昨年は卒業生の奈良での活躍を多く耳にしました。奈良市の副市長、奈良高校の校長、NHK奈良放送局の局長です。また、遺贈寄付として卒業生から高額の寄付がありました。学生の海外経験を支援する基金として活用させて頂こうと考えています。
卒業生について先生方にお願いがあります。卒業生とコンタクトができるように、研究室OGとの関係性をより強固なものとできるよう、ご配慮をお願いします。また、退職される先生は引継ぎをお願いします。学生には、国立大学は国からの補助を受けており、卒業後の活躍状況の報告が、今後の国の教育政策に活かされるとお伝えください。

 以上です。最後になりますが、教職員の皆様の健康を祈念して年頭のあいさつとします。今年もよろしくお願いします。
 

令和5年1月4日
奈良女子大学 学長 今岡春樹