第13回女性史学賞授与式を実施しました(1月12日)

 奈良女子大学アジア・ジェンダー文化学研究センターは、歴史学者で文化勲章受章者の故脇田晴子氏の提唱により2005年に創設された「女性史学賞」の運営を引き継ぎ、1月12日、本学としては2回目となる女性史学賞授賞式を行いました。「女性史学賞」は、ジェンダー視点をもつ優れた単著に与えられる賞で、通算第13回目となる今回は、柳原恵氏(日本学術振興会特別研究員PD)の『<化外>のフェミニズム−岩手・麗ら舎読書会の<おなご>たち』(ドメス出版)が受賞作に選ばれました。
 当日は、選考委員、大学教員、大学院生、地域の女性史に取り組む女性たちをはじめとする多くの来場者があり、冒頭、今岡春樹学長から、伝統ある女子大学として「女性史学賞」を引き継いだ意義が述べられました。
 次いで、女性史学賞授賞式並びに選考委員の成田龍一氏(日本女子大学教授)による選評の後、柳原氏による受賞者講演が行われ、同書が、東北という<化外>の地で産み出された女性たちの思想や意識変革を、日本のフェミニズム運動史の中に位置づける試みであることが語られたのに続き、舘かおる氏(お茶の水女子大学名誉教授)からは、受賞作に対するコメントや、柳原氏が博士論文を著したときのエピソード、東北での長期にわたるフィールドワークが同書に結実したことが述べられました。また、会場内の参加者との間で活発な質疑応答が行われました。
 その後、かつて「女性史学賞」を受賞した本学准教授の山崎明子氏と柳原氏との対談が行われ、研究者として自立していく上で3つのG(学位、学振特別研究員、学会賞)が重要だという意見があり、「女性史学賞」は優れた研究者を将来につなぐ重要な役割を果たしていること、また研究者をめざす学生にとって目指す目標になりうることを、あらためて認識しました。
  「女性史学賞」は、脇田氏のご遺族から本学への寄附金を原資としています。今回の会場となった奈良女子大学記念館(重要文化財)には、ご寄附者への謝意が込められた銘板が設置してあり、そこには脇田晴子氏のご芳名が掲載されています。

松岡センター長(左)から第13回女性史学賞の受賞を受ける柳原恵氏(右)                      

柳原氏による受賞者講演