奈良地域関連 電子画像集 学術情報センター
阪本龍門文庫善本電子画像集  自筆本の部

新 撰 字 鏡
小 画 像
大 画 像

目録番号675
書名新撰字鏡
写刊別
冊数1冊
書写(刊行)年代江戸後期写
資料サイズ縦27.4cm×横19.0cm
備考袋綴


 狩谷エキ斎手写書入れ。狩谷エキ斎(1775〜1835)は江戸後期の文献学者・考証学者。江戸の書店、高橋青裳堂に生まれた。初めの名は真末(まさやす)。寛政11年(1799)米問屋津軽屋狩谷家に婿入りした。日本古典文化の考証に専念し、その基礎となる書籍の収集につとめ、本文の厳密な校訂を行った。
 『新撰字鏡』は、昌泰年中(898〜901)昌住の撰。部首引きの漢字辞書で、和訓をもつ最古のもの。ながく存在が知られなかったが、村田春美(1746〜1811)が抄録本を見付け、遅れて完本天治本が見つけられた。抄録本は和訓の注のある漢字のみを抄出したもの。

 巻首の朱印記「青裳文庫」の下に押された朱印記「青裳堂蔵書」はエキ斎が真末と称した時期に使ったもの。生家の屋号「青裳」は合歓木のこと。掲出本は巻下を欠くために確認できないが、巻下には「エキ祢夫利」とある。「エキ」字を掲げ、「祢夫利」の訓を示す辞書はほかに管見に入らないから、彼の号はここから出たと見られる。

 原装渋引表紙(縦27.4cm×横19.0cm)。外題、題簽に「新撰字鏡 乾」と墨書。内題「新撰字鏡」。字面高さ20.5cm。半面8行、注小字双行。貼付紙のはずれたもの並びに挿入紙片があり、中に巻下所収の漢字に付されていたと見られるものがあるので、もとは上下揃いであったことがわかる。慶応義塾大学斯道文庫にはエキ斎書写の『新撰字鏡』巻下と同上下揃本とが所蔵されるが、前者は掲出本の僚巻ではない。
 なお、本文庫には足代弘訓(1784〜1856)が書入れをした享和3年整版もある。『新撰字鏡』の近世の書写本については川瀬一馬『古辞書の研究』(講談社 1955・11)にくわしい。

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