仏涅槃図 平安時代後期 重要文化財指定
絹本著色 164.8cm×137.6cm
長年にわたる涅槃会での使用のためか、かなり損傷していますが、画面に直接、菩薩・仏弟子の名前が書き込まれており、研究上きわめて貴重です。
截金文様、銀泥による装飾など、きわめて豪華な装飾が施されていることがわかります。今回の近赤外線での撮影により、従来は知られていなかった仏弟子二人の姿も知られました。なお、動物の姿はいっさい描かれていません。
右上の「摩耶夫人」からはじめて十二の名前を確認することができます。絵柄や描かれる位置は、高野山金剛峰寺蔵の「国宝・応徳三年銘 仏涅槃図」によく似ており、平安期の昨風をよく伝えています。
またそのことから名前が剥落していても、比較によってそれと知られる「地蔵菩薩」などの例もあります。
摩耶夫人の下方にある書込みは「跋堤河」で、釈迦が涅槃に入った土地を説明するものです。画面左上方には、入涅槃の文言を書いた色紙型が付されています。