生駒曼荼羅
往馬大社所蔵 (奈良国立博物館寄託)
絹本著色 142.8cm×66.0cm 室町時代 県指定文化財
往馬大社の社景を遠望し、上段に縁起図像を記す。生駒曼荼羅には別に、奈良国立博物館蔵の鎌倉時代(14世紀)制作のいま少し小さい法量のもの一点(重要文化財指定)があるが、図像は小異があるがほぼ共通する。往馬大社蔵のこの画幅の方が色彩が鮮明に残っている。
画面中央の本伝の上に、誉田別尊(ほんだわけのみこと・応神天皇、本地阿弥陀如来)、足仲津比古尊(たらしなかつひこのみこと・仲哀天皇、釈迦如来)、気長足比売尊(おきながたらしひめのみこと・神功皇后、十一面観音)、気長宿祢王命(おきながすくねおうのみこと・神功皇后父、地蔵菩薩)、葛城高額姫命(かつらぎたかぬかひめのみこと神功皇后母、文殊菩薩)の八幡神関連五神が描かれ、右手には一段落として、伊古麻都比古命(いこまつひこのみこと、本地薬師如来)と伊古麻都比売命(いこまつひめのみこと、毘沙門天)が描かれている。
浜田隆氏は『国華』783号(1957)で、往馬大社蔵のこの画幅に言及し、「原本には次の様な裏書きのあつた事が知られて居る。即ち 奉新書当社曼荼羅、絵所南都吐田筑前公、和州生駒下広三十講方沙汰、于時第二維(康正二年1456)丙子二月二十七日 吐田(はんだ)筑前公は、当時大乗院絵所に所属していた吐田座筑前法眼重有と考えられる」と述べている。