毘沙門天王像

朝護孫子寺所蔵
(奈良国立博物館寄託)

絹本著色 縦97.2cm×横50.7cm 元時代

 「毘沙門天王像」 (元時代、十四世紀)は、右手に戟、左手に宝塔を捧げる毘沙門天が、吉祥天と、童子及び二鬼神を従え、画面に向かって右から左へと歩む姿を描いたものです。このような画面構成は、唐時代末期から宋時代初期に中国で描かれた「行道天王図」の図様を踏襲したものと考えられています。元時代の絹本著色の毘沙門天王像は、現存作例も少なく、大変希少な作例です。伝来の経緯は不明ですが、信貴山は毘沙門天の聖地として知られています。類例の少ない毘沙門天の渡来画像がもたらされたことの意義が注目されています。

毘沙門天王像

毘沙門天王像